《さらば、暴政》

副題は〈自民党政権 負の系譜〉。
英語タイトルは《TRUMP TYRANNY》。
  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4860293053.html
同じ著者の前作↓は、都道府県の図書館サイトで横断検索すると、適宜数、各地の図書館に入っている。
 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4334933688.html
 cf.―― http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/books/koizumi.htm
この最新作を図書館サイトで横断検索するのは後日の愉しみ。

さて、一読して再読中だが、《さらば、暴政》は面白い。
簡単で、難しくて、検証欲をそそられる――そこがすこぶる面白い。
パンクロックな書物だ。

「さらば」は「さようなら」で平たく言うと「それでは」「では」ゆえ、一般に「またね」「再見」「see you again」にも通じるのだが、本書を読むと通じない。
ドライでクールな「うんざり感」「辟易感」「絶交感」の籠った、あっさりとした「さらば!」。
パンクロックだ。

「あばよ」の語源が「按配よろしゅう」だとしたら、本書の「さらば!」は「あばよ!」とも違う。
しかし語源など度外視すれば「あばよ!」でいい。
パンク感覚では「あばよ」は「あッカンベェ~ダゼ、ばッキャロメ、ウセロよ」だからだ。
「またね」には交代感が残存する。
交代感を拒むのが絶交感。
《さらば、暴政》の「さらば、」は英語で言えば、
       purge(パージ)
       excommunicate(エクスコミュニケイト)
       get rid of(ゲットリッドオブ)
すなわち「追放」「破門」「駆除」といったニュアンス満載の「さらば!」だろう。

本書p.32の3行目に「この辞任は武士道ではなく、腑抜けだ」とある。
英字新聞にそう書かれていたらしい。
検証欲をそそられてabcで始まる単語3つでネット検索してみた。
   abe bushido chicken
当該英字新聞が読めたし和文の論評記事も読めた。
パンクロックだ。
私がパンクロッカーならchickenはそのまま「ひよこ」と訳すが、そんなことはどうでもいい。
「腑抜け」も「ひよこ」も歌詞としてパンクロックだからだ。

「暴政」の対概念が「共通善」であることはp.244に記されている。
難しい、だが簡単で、検証欲をそそる。
パンクロックだ。
面白い。

読みながら索引や年表を作りたくなる書物。

何といっても「じゃあどうすればいい? 教えてくれ!」と甘ったれたことを言う読者を突き放しているところが好い。
ガイドブックやハウツー本ではないのだ。
「賢くなりたきゃ自分でなりな!」
――そんな感じ。
パンクロック。

なお、過去記事↓でも触れた本ゆえ将来記事でも触れそうな予感あり。
   http://blogs.yahoo.co.jp/cgxyw127/32864715.html