《酒虫》

 
以下、p.90より。
――酒虫は、時の約束を破ると、おのずから滅びてしまうのである。
   しかたがない。眠るとしよう。
   そうつぶやくと、素焼きの甕の土の中に滲みこんで、深い眠りについてしまった。――
   
 

《自己をわすれる》

 
本文全体はもちろん、前書き(はじめに)も好い。
前書きでは特に、能動的に社会参加しない傾向が拭えない【仏教】の「現代化」について述べている箇所が好い。
以下、p.5から。
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仏教は現代化されなければならないと私は思っている。
  ――〔中略〕――
十人の仏教徒がいたら、十の現代化があっていい。
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・・・釈迦の遺言である【自灯明・法灯明】に呼応している感じ(微笑)。
 

《かわうその祭り》

温故知新小説。
一気に読んでワンダフルな出久根コスモスを堪能した。
文体文勢がストーリーテラーしている。
 
巻末の参考文献も読みでがある。
単行本p.264の「日本体操」に振られたルビが「やまとばたらき」。
参考文献の最終行(p.325)は、こう。
  ――『日本体操』筧克彦 春陽堂書店 昭和4――